仕事人の会話術<電話編>は、電話という非対面チャネルを使ってお客様とのリレーションを図る業務に従事しているテレセールスの知恵をお届けします。ベテランのテレセールスとして多くのお客様を持つMさんに電話営業における工夫を教えて頂きました。
――どんなお仕事でどんな役割を担っていますか。
IT系企業Z社のテレセールスとして、お客様へ定期的なリレーションコールをしながら、ニーズを拾い、商談へつなげていく業務を主としています。
――お客様へ電話をかける前に確認していることは何かありますか。お客様の電話番号を確認してすぐにダイアルするものなのでしょうか。
電話番号だけを見てすぐダイアルすることはまずありません。ダイアルする前に、お客様のホームページやニュースリリースなどを見て、これからご連絡するお客様のことをまず改めてインプットします。
次に、顧客データベースからそのお客様との取引情報、コンタクト履歴を見て、現在までの進捗を入念に整理し、会話の主軸をある程度固めた上で、受話器に手を伸ばします。
――では、お客様と会話を始めてから、会話の中で気をつけていることはありますか。
まずは、お客様が今どんな状況にあって、どんなことに困っているのか、どんなことを望んでいるのかをじっくりヒアリングします。中には、困っている状況に置かれていることすら認識していないお客様もいます。そんな時は、他のお客様で実際にあったお困りのケースなどを例に出し、認識してもらえるようにしています。
せっかくIT投資をしたのに、トラブルや追加投資が発生してしまったというお話を後から耳にするのは、やはりつらいですから。
ですので、本当は、仕様が決まる前にお話ができればベストです。仕様が決まる前であれば、お客様にとってのベストチョイスのお手伝いができます。例えば、「こういうセキュリティソフトにするとこの部分での課題は解消します」、「こういうライセンスの買い方がお客様には適しています」「こういうサーバーで代用するのも解決のためのひとつの手です」というふうに。
――電話だからこそ難しさを感じることはありますか。
製品にしてもサービスにしても、言葉だけで説明する際に特に難しさを感じます。図解や表などを見せればすぐにイメージを共有できることを、言葉だけで説明しなければなりません。いかにわかりやすく、イメージしやすくお客様に伝えられるか、これは永遠のテーマですけど(笑)。
それと、一言に複数の意味合いが含まれるということを痛切に感じています。例えば「導入は12月」といえば、「ハードないしソフトの導入は12月」と思ってしまいがちですが、あるお客様においては「契約ベースが12月」という意味合いで発していた言葉だったことがあります。
言葉から受け取る意味合いは必ずしも同じとは限らないことを学んだ出来事でした。以降、なるべく具体的な問い掛けをして確認するようにしています。
もうひとつ類似したところで、製品のバージョン情報などがあります。変わっていく部分ですので、覚えにくいのも確かですが、お客様が本当に同じ製品のことを言い示しているのか、何度となく確認をするようにしています。
時には、まったく違う製品と勘違いされていることもありますし、電話で正確にやりとりすることの難しさを感じています。
――今まで数多くのお客様と会話をしてきた経験があるからこそ、自分に言い聞かせていることや会話の中で大事にしていることはありますか。
先ほどお話したように電話ならではの難しさが多くありますので、「いろいろな角度からお客様の話を聞き取るように」と自分に言い聞かせています。まだまだ満足のいくところまで達していませんので、今後も続いていく私の課題です。
それと、話しているお客様に時間的な制限がないかどうか常にアンテナを張っています。例えば、電話越しに聞こえる呼び声や携帯電話音、チャイムなど、背景で聞こえる音にも注意を払っています。お客様が忙しいときには無理強いはしません。
相手の顔が見えないからこそ、相手への配慮を忘れないMさん。そんな彼女だからこそ多くのお客様のハートを掴んでいるのだと感じた今回の取材でした。多忙な営業活動の中、取材への協力有難うございました。